「エコフィード」という言葉は、ご存知でしょうか。食品をリサイクル(=エコ)して、家畜の餌(=フィード)として利用すること、これをエコフィードと呼びます。エコフィードは廃棄物の有効活用に繋がり、飼料化事業者・畜産経営者にとってはコストダウンが望め、食品リサイクルループが可能になる仕組みでもあります。
有望な食品リサイクルの1つとして期待されているこのエコフィードについて、まとめました。
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HUB’S EYE(リサイクルハブコンサルタントの分析)
まず食品リサイクルには、バイオマス発電や堆肥化など色々な手法がありますが、中でも家畜の餌として利用する「飼料化」はエコの優等生であると言えます。食料をそのまま活用するのでリサイクル活用度は高いのですが、廃棄物にタバコやフォーク・ナイフなどが混ざることは許されません。徹底した分別が求められる為、必然的に敷居は高くなります。また飼料化にもいくつか方法があり、そのまま飼料とするもの・揚げて飼料化するもの・液体飼料とするものなどがあります。
■原料となる食品残さって具体的にどんなもの?
原料に出来る食品残さは、下記の通りです。
①食品製造副産物
パンくず、菓子くず、乾麺くず、豆腐かす、醤油かす、焼酎かす、ビールかす、ジュースかす 等
②余剰食品及び調理残さ
売れ残り弁当、廃食油、カット野菜くず 等
③農場残さ
規格外農産物(形が悪いものなど) 等
■エコフィードの特性は?
食品廃棄物は時間が経過すれば、腐敗して使えなくなってしまいます。飼料として利用するには、どのような対応が必要かをまとめました。
すぐに利用するものでない場合、腐敗防止の為に添加剤や乳酸発酵を行います。保存としてはPH3.0~PH4.0が望ましく、家畜が美味しく食べられる嗜好性としてはPH4.0~PH5.0が望ましい数値です。その為、PH4.0が実用的な数値になっています。
添加物として有機酸が利用されますが、直接皮膚を触れると火傷をおこす為、取扱には注意が必要です。飼料安全法の上限値もあります。有機酸の中には、豚が嫌がる臭いがするものもあります。その点、乳酸発酵は安全性が高いと言えます。
■エコフィードの利用状況はどうなっている?
現在のエコフィードの利用状況は、下記のような流れになっています。
①地域密着型
エコフィードとして利用できるか評価し、その地域で活用
↓
②広域収集・広域流通
広域から収集し、エコフィードも広域で流通できるように対応
↓
③排出場所にてオンサイト処理を行う
排出場所にて食品廃棄物を保存・加工を行ない、リサイクルの最適化を行う
現在は排出事業場にて貯蔵や発酵が出来るオンサイト処理が増えています。設置する為のコストは必要となりますが、収集運搬の過程が減りますので、全体的にはコスト減になるケースも多くあります。
まだ十分に活用できていない分野もあります。
将来は、それら未利用の食品についても対応出来るよう技術が進んで行くでしょう。
未利用分野を開拓する事がエコフィード利用拡大には必要です。
■課題は?
このように、エコフィードは食品リサイクルを進めるのにとても適した方法に見えますが、課題もあります。
- 栄養価を考慮しないと、家畜の食肉の質が落ちる
- 特定のものを偏って食べると、肉や乳に臭い移る(もやしの食品リサイクル等)
- 廃棄物のイメージがある為、使用が拡大するよう酪農家に対する取組みが必要
ただ単にエコフィードを使うのであればコスト削減や環境貢献にはなりますが、食肉の質が落ちてしまう事を防ぐ為にも工夫が必要です。栄養価や配合割合などしっかりした管理を行えば、既存の食肉の味覚と同等レベルになると言われています。
エコフィードの利用拡大は、食品業・産廃業・飼料化業・畜産業等がしっかり連携しなければいけません。一定品質を安定的に生産・供給する体制が必要です。またその取組について、廃棄物を安全に有効活用しているという事を消費者など関係者の理解を得ることが重要になります。
例えば、食品廃棄物を利用して製造された飼料を認証する制度「エコフィード認証」や、その認証を受けたエコフィードを利用して生産された畜産物や加工品を認証する「エコフィード利用畜産物認証」があります。このように認証制度を使って、消費者にアピールする事も大切です。
まとめ
食品循環資源の再利用を進めるためには、まずは食品関連の排出事業者の理解が必要です。堆肥化や熱エネルギー回収が望ましい廃棄物もありますが、もしまだ食べられるようなものを廃棄するのであれば、飼料化が出来ないか検討して頂きたいと思います。飼料化に回せる素材が多くなれば、通常使う飼料も少なくて済みます。環境負荷が低いリサイクルを選択してみませんか。
(文責:斉藤)
事例紹介
弊社では、エコフィードにて食品リサイクルを実現した事例があります。詳細は、下記ページをご覧ください。
食品関係の方、自社でも可能かなと思いましたらお気軽にリサイクルハブまでお問い合わせ下さい。
【参考】
関東地域エコフィード推進シンポジウム(2017/3/2開催)