日本の廃棄物リサイクル業界を騒がせている中国の「国門利剣(ナショナルソード)」規制。9月のコラムでは、概要と背景について解説しました。
今回は、この中国の取り組みが日本の廃棄物リサイクル市場にどのようなインパクトをもたらしつつあるのか、そして今後の展開はどうなるのかを解説します。
HUB’S EYE(リサイクルハブコンサルタントの分析)
今回の廃棄物規制の全容が明らかになってから数か月が経過しました。当初は様子見だったリサイクル業者も、中国当局の揺るぎなき厳しい姿勢を見るにつけ、対応を迫られています。
具体的には、
①買取価格の大幅引き下げ→②取引の停止→③産廃処理への転換
という流れで段階的に取引形態の転換が進んでいます。
これまで排出事業者は廃棄物を売却してお金をもらえていたのが、今は逆に排出事業者が産廃業者にお金を払って処理してもらわないといけない事態になりつつあります。
この流れは特に廃プラスチック類で顕著で、次いで古紙や廃電子機器類などにも影響が出始めています。
廃棄物処理のマッチングを行っている当社でも、廃プラスチック類の買取停止に伴う相談を多く受けており影響の大きさを肌で実感しています。
当社も多くのリサイクル業者と商談を重ねましたが、色よい返事を頂ける業者は皆無で、特に「雑プラ」と呼ばれる、複数の材質が混在した低品質の廃プラスチックは総じて買取不可となっています。
理由はシンプルです。今まで最大の買い手だった中国がそっぽを向いてしまったからです。では国内はというと、国内メーカーが求める品質基準が高すぎて、品質にバラつきが出やすい再生資源物は、安くても買ってくれないのです。
こういったペットボトルを圧縮しただけのプラは今後輸出できなくなる可能性が高いです
今後の展開について
さて、今後日本の廃棄物リサイクルはどうなっていくのでしょうか。
大きくは次の2パターンが想定されます。
①中国以外の第三国に輸出する
②日本国内で処理・リサイクル
①についてですが、中国に代わる輸出先として東南アジア各国が挙げられます。実際にいくつかのリサイクル業者は東南アジアの取引先を開拓しつつあります。ただ、これらの国々のリサイクラーは小粒の企業が多く、これまで中国一国で賄ってきた量を全て吸収しきれるほどの器はありません。
となると②の国内で何とか処理していくしかないのですが、現状日本国内において製品の原材料として利用可能な廃プラスチック類はごく一部に留まるので、行く着くところは良くてサーマルリサイクル、もしくは単純焼却に向かうことが考えられます。もちろん処理費を払って。
廃プラスチックでお困りの方へ
弊社では、複数の有力プラスチックリサイクル業者様と連携し、産廃処理はもちろんのこと、依然として有用なプラスチックについては有価取引も承っております。
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