廃棄物の種類と処理・リサイクル方法

PCB廃棄物

PCBのイメージです

1.PCB廃棄物(廃PCB等・PCB汚染物・PCB処理物)とは?

PCB3種のイメージ

PCB廃棄物とは、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、ポリ塩化ビフェニルを含む油またはポリ塩化ビフェニルが塗布され、染み込み、付着し、もしくは封入された物が廃棄物となったもの(環境に影響を及ぼすおそれの少ないものとして政令で定めるものを除く)を指します。

廃棄物処理法に定める、「廃PCB等」「PCB汚染物」「PCB処理物」の3種類に分類されます。
・廃PCB等…液状PCB廃棄物にあたる廃PCB及びPCBを含む廃油がこれに該当する。
・PCB汚染物…PCBを一定量以上含む、泥状や固形状のものなどがこれに該当する。
・PCB処理物…廃PCB等又はPCB汚染物を処分するために処理したもので一定の基準に満たないものがこれに該当する。

これらの基準は以下の通りです。

  • 廃油…PCB 0.5mg/kg以下
  • 廃酸・廃アルカリ…PCB 0.03mg/リットル 以下
  • 廃プラスチック、金属くず、陶磁器くず…PCBの付着または封入がないもの(次の試験法による)
    [洗浄液試験法]→洗浄液:0.5mg/kg 以下
    [ふきとり試験法]→面積;0.1μg/100cm^2 以下
    [部材採取試験法→部材:0.01mg/kg  以下
  • 上記以外(汚泥・燃え殻・ばいじん)…PCB 0.003mg/リットル 以下
  • 環境省令で定める判定基準に達しないもの

2.PCB廃棄物の具体例

  • 廃PCB等
    廃PCB(原液)
    熱媒体油、潤滑油等、電気絶縁油などの廃油に廃PCBを含むもの  など
  • PCB汚染物
    PCBが染みこんだ汚泥
    PCBが塗布され、または染みこんだ紙くず
    PCBが染みこんだ木くず、もしくは繊維くず
    PCBが付着し、または封入されたプラスチック類もしくは金属くず
    PCBが付着した陶磁器くず、もしくはがれき類
    PCBを一定量以上含むトランス、コンデンサなどの電気機器、蛍光灯の安定器、感圧複写紙、ウエスなど
  • PCB処理物
    上記(1.PCB廃棄物とは?トピック内)基準に満たない廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック、金属くず、陶磁器くず、汚泥、燃え殻、ばいじんなど

 3.PCB廃棄物の主なリサイクル方法

<概況>

PCB特別措置法にともない、JESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)による全国5箇所の処理施設にて処理が行われています。
化学処理による廃PCB等(液状PCB廃棄物)の分解には以下の方式があります。

・脱塩素化分解…PCBの分子を構成している塩素とアルカリ剤等を反応させ、PCBの塩素を水素等に置き換える方法。

・水熱酸化分解…超臨界水(温度と圧力を調整して反応性を高めた水で、液体でも気体でもない状態にした水です)や超臨界状態に近い水によってPCBを塩、水、二酸化炭素に分解してしまう方法。

・還元熱化学分解…還元雰囲気条件の熱化学反応によってPCBを塩・燃料ガスに分解してしまう方法。

・光分解…紫外線でPCBを構成している塩素を取り外してPCBを分解してしまう方法。

・プラズマ分解…アルゴンガス等のプラズマ(気体分子が高度に電離した状態)によってPCBを二酸化炭素、塩化水素等に分解してしまう方法。

 

<主なリサイクル用途・方法>
以上の方式により無害化したPCBおよびその含有・付着対象物を、それぞれの性状に従ってリサイクルします。

 

<その他の処理方法>
処理においては無害化することがもれなく必要となり、これらの処理後に管理型埋立処分されることもあります。

 

4.低濃度PCB汚染廃油・低濃度PCB汚染物・低濃度PCB処理物(微量PCB汚染廃油etc)について

[低濃度PCB汚染廃油]
廃PCB等のうち、数mg/kg~数十mg/kg程度の微量の PCBによって、非意図的に汚染されたもの。以下のものに分類されます。
・微量PCB汚染絶縁油…電気機器又はOFケーブルに使用された絶縁油であって微量のPCBに汚染されたもの(本来PCBを使用しない電気機器またはOFケーブルに使用された絶縁油に、製造過程で残留PCBが付着したなどの原因でこのように微量なPCBが含まれている。)
・低濃度PCB含有廃油…PCB濃度が5,000mg/㎏以下の廃油など(主に液状物)

 

[低濃度PCB汚染物]
PCB汚染物のうち、以下のものを指します。
・微量PCB汚染物…微量PCB汚染絶縁油に汚染されたもの
・低濃度PCB含有汚染物…PCBが塗布、染み込み、付着、または封入された、主として固形物のもの

 

[低濃度PCB処理物]
PCB処理物のうち、以下のものを指します。
・微量PCB処理物…微量PCB汚染絶縁油、微量PCB汚染物を処分するために処理したもの
・低濃度PCB含有処理物…PCB廃棄物を処分するために処理したものであって、付着しているか、含まれているPCB濃度が5,000mg/㎏以下のもの

 

上記の3種の低濃度PCB廃棄物に関しては、国が指定した処理施設において排水や排ガスを無害化した上で焼却処理や洗浄処理されます。

 

【参考】

環境省:特別管理産業廃棄物の判定基準
http://www.env.go.jp/recycle/waste/sp_contr/01_table.html

環境省:廃棄物処理法に基づく無害化処理認定施設
http://www.env.go.jp/recycle/poly/facilities.html

 

【2016年改正法に関して】
【2016年8月改正・PCB特措法政令】 排出事業者が行うこととは?

 

PCB使用製品の確認方法
①高濃度PCBの判別について
 高濃度PCBを含有する変圧器・コンデンサー等は、機器に取り付けられた銘板を確認する事で判別が可能です。詳細は、製造メーカーへ問い合わせるか、日本電気工業会のWEBサイトを参照します。
②低濃度PCBの判別について
 低濃度PCBは、機器に取り付けられた銘板より、製造年月日とメンテナンス実施履歴などからPCB汚染の可能性を確認します。製造年がPCB汚染の可能性がある時期であった場合は、実際に電気機器から絶縁油を採取して、PCB濃度の測定を行います。
 コンデンサーなどの封じ切り機器は、絶縁油の摂取をすることで機器が使えなくなるので注意が必要です。
 銘板の確認の為に、動作中の変圧器やコンデンサーに近づくと感電の危険がありますので、電気主任技術者に依頼して確認します。