事業系ごみの正しい捨て方・処分方法

事業系一般廃棄物って何者?産業廃棄物と何が違うの?

さて、家庭から出るごみと会社で出るごみとの違いとは?で、会社の事業活動によって出たごみは産業廃棄物と書きましたが、「じゃあ会社で出るごみは全て産業廃棄物なんだね」と言うと、そうではありません。

ここが日本の廃棄物処理法のややこしい所なのですが、会社で出るごみのうち、その会社に所属する従業員が、就業中に個人的に出したごみは一般廃棄物となるのです。同様に、飲食店でお客様が食べ残した残飯も一般廃棄物となります。

こういった類の一般廃棄物のことを、家庭ごみと区別する意味で事業系一般廃棄物と呼んでいます。(家庭から出るごみは家庭系一般廃棄物です)

そしてこの業界では、産業廃棄物と事業系一般廃棄物を総称して、「事業ごみ」「事業系ごみ」と呼んだりしています。

分かりやすく図で示すと、下記のように表わせます。

 

 

具体的な品目毎の区分けはこちらの表でご確認ください。

 

廃棄物の種類 具体的な対象例排出事業所例事業系一般廃棄物に該当産業廃棄物に該当
燃えがら 木炭、重油、石炭がらなどの燃焼物の焼却灰、 炉清掃排出物(すす)等 全事業所(浴場、焼肉店、事務所等)
産業廃棄物の木くずやカンナくず等を焼却した際の燃えがら、灰 建設業、製材業、木製品製造業等
汚泥 工場排水処理や各種製造工程で生ずる泥状の物 全事業所(工場、飲食店、旅館等)
廃油 エンジン油などの鉱物性油、溶剤等 全事業所(ガソリンスタンド、塗装業等)
廃酸 酸性の廃液を含むもので、写真定着液、アルコール発酵廃液等 全事業所(写真現像所、食品製造業等)
廃アルカリ アルカリ性の廃液を含むもので、写真現像液、自動車用不凍液等 全事業所
廃プラスチック類
合成樹脂くず、合成ゴムくず等合成高分子化合物を 含むもので、タイヤ、塗料かす、ビニール袋、 農業用ビニール、発泡包装材、発泡トレイ等 全事業所
飲食店等で客に提供したプラ容器、業務用のペットボトル等 飲食店、スーパー、百貨店、パチンコ店等
従業員等の個人消費に伴って生ずる弁当等のプラ製容器包装、プラ製品、ビニール袋、包装材、発泡トレイ、ペットボトル等 会社事務所等
ゴムくず 天然ゴムくずであって、天然ゴム製手袋、天然ゴム製器具等 全事業所
金属くず
鉄、ブリキ、トタン、銅線、アルミサッシ、番線、ボルト、金属なべ、金属缶等 全事業所
従業員等の個人消費に伴って生ずる飲料缶等の金属容器、金属製品等 会社事務所等
ガラスくず、コンク
リートくず、陶磁
器くず
ガラス、陶磁器、ガラス繊維、モルタル、タイル、瓦、石膏ボード等 全事業所
従業員等の個人消費に伴って生ずるガラスびん 会社事務所等
鉱さい
炉の残さい、不良鉱石、不良石炭、粉炭かす等
高炉による製鉄業、製鋼・製鋼圧延業等
がれき類
工作物の除去に伴い生じるものでコンクリートの破片、レンガの破片等 全事業所
ばいじん
ばい煙発生施設等で発生し、集じん施設で集められたもの ばい煙発生施設
産業廃棄物を処分
するために処理した
もの
コンクリート固化物等 廃棄物処理施設等
紙くず
包装材、段ボール、壁紙等 建設業(工作物の新築、改築、除去に伴うもの)
パルプ、紙、紙加工品、板紙、書籍等パルプ、紙製造業、紙加工品製造業、新聞業、製本業等
新聞紙、雑誌、段ボール、事務用印刷紙、カタログ、梱包紙等 会社事務所、スーパー、飲食店等
木くず
型枠、足場材、建具工事等の残材、抜根・伐採材、木造解体材等 建設業(工作物の新築、改築、除去に伴うもの)
残材、チップ、おがくず等
製材業、木製品製造業、パルプ製造業、家具製造業等
木製机、テーブル、椅子、梱包材等
会社事務所、飲食店等
物品賃貸業に係る廃木製品
木製電柱、木製電線ドラム等 電気工事業
測量杭・測量ポール 測量業
街路樹せん定木、庭木せん定木 造園業、園芸サービス業
間伐材 育林業
木製とプラの椅子等一体物 全事業所
木製パレット(パレットに固定された木製の構築物を含む) 全事業所
繊維くず
廃ウェス、縄、ロープ類、畳等の天然繊維 建設業(工作物の新築、改築、除去に伴うもの
木綿くず、糸くず、羊毛くず等の天然繊維 製糸業、紡績業
木綿くず、糸くず、羊毛くず等の天然繊維 繊維製品製造業
合成繊維くずは廃プラスチック類 繊維製品製造業、製糸業、紡績業
布製の衣類、布団、座布団等 百貨店、スーパー、寝具店等
動植物性残さ
(生ごみ)
魚、獣の骨、内蔵のあら、野菜くず、酒かす、麺くず、ハムくず、パンくず等
食料品製造業、パン・菓子製造業、めん類製造業、精穀、・製粉業、豆腐製造業等
卸売市場、飲食店、スーパー、精肉店、小売店、ホテル等
賞味期限切れの製品くず 同上
動植物性固形
不要物
家畜の解体等により生ずる骨等の残さ と畜場、食鳥処理場
食肉の骨等の残さ 精肉店、飲食店、ホテル等
動物のふん尿
牛、馬、豚、鶏、ウサギ等及び毛皮獣等のふん尿
酪農業、肉用牛生産業、養豚業、養鶏業等
ペット、動物園等のふん尿
ペットショップ、犬猫病院、動物園等
動物の死体
牛、馬、豚、鶏、ウサギ等及び毛皮獣等の死体
酪農業、肉用牛生産業、養豚業、養鶏業等
ペット、動物園等の動物の死体
ペットショップ、犬猫病院、動物園等

 

 

■事業系一般廃棄物の処理責任は?

結論から言うと、分かりません(汗)。というか法律的にそこが明確になっていないのが実情なのです。先の記事で申し上げた通り、一般廃棄物は所管の市区町村にて処理することが原則ですので、事業系一般廃棄物も市区町村が処理する責任を負うという解釈ができる一方で、会社で排出されたものは、産業廃棄物だろうが事業系一般廃棄物だろうが関係なく、排出事業者責任の原則に則って自己処理(廃棄物処理業者に委託)しなければならないという解釈もできます。

 

じゃあ実際はどうなっているかと言うと、事業系一般廃棄物の対応は市区町村によって様々です。家庭ごみと一緒に無料で回収してくれる自治体もあれば、家庭ごみと区分して手数料を課して回収する自治体もあります。

例えば、東京23区においては、事業者に有料のごみ処理券(シール)を買って出すか、量が多い場合は、個別に廃棄物処理業者に委託するようになっています。(区によっても微妙に対応が違うので注意)

また、東京都港区では「区では今後、新規で発生した事業系一般廃棄物は回収しないので、民間の廃棄物処理業者に委託するように」と通達していたりします。

 

 

 

 

<もうちょっと深く>

■事業系有料ごみ処理券(ごみシール券)とは
東京都23区で少量排出事業者向けに行われている制度です。
少量の事業ごみを出すときには、あらかじめその地域の区が発行する「事業系有料ごみ処理券」(有料シール)をお求めの上、そのシールをごみ容器かごみ袋に貼って、排出できます。

少量排出の量は、区ごとに決まりがあるので、該当するかは区役所のWEBサイトや廃棄物の担当部署に確認が必要です。

また「びん・缶・ペットボトル・発泡トレイ・発泡スチロール・容器包装プラスチック」や「雑誌・ダンボール」については、資源ごみ等で出せる場合がありますが、区によってルールが異なるので、こちらも確認が必要です。

 

■分別の違い

市区町村ごとにもよりますが、家庭から出るプラスチックは燃えるごみに該当する事が多くあります。紙や木と一緒に可燃ごみとして処理されます。

しかし、事業ごみになるとプラスチックごみはどのような事業から出ても「産業廃棄物」に該当します。オフィスから出る不要な書類は可燃ごみになりますが、それと混ぜてプラスチック製品(フィルム・ビニールなども含む)を排出する事は出来ません。

 

■粗大ごみの扱い
会社で発生した粗大ごみについては、原則、市区町村では収集してくれません。業者に委託する必要があります。

廃棄物によっては、事業系一般廃棄物に該当するものと産業廃棄物に該当するものに分かれる為、排出する粗大ごみがどちらに該当するのか確認が必要です。

 

【注意が必要な廃棄物例(金属)】
スチール製の机:産業廃棄物の金属くずに該当します
木製の机:産業廃棄物に該当しない為、一般廃棄物に該当します(木くずには該当しません)

 

【注意が必要な廃棄物例(紙くず)】
一般オフィスから出る書籍やダンボール:一般廃棄物に該当します
工事現場から出るダンボール:産業廃棄物に該当します
印刷工場から出る書籍やダンボール:産業廃棄物に該当します