世界初の高純度人工水晶(Sio2)を用いた光発電素子を開発したinQs株式会社へ、4月4日に伊藤忠商事が出資すると発表しました。
人工水晶を原料に用いる事で、完全無色透明型と極低照度発電型の二種類の新型太陽電池の開発に成功し、将来的に電力供給システムの一部を変える可能性を秘めた技術として、注目されています。
HUB’S EYE(リサイクルハブコンサルタントの分析)
今回の伊藤忠商事が行った出資の決め手は、何でしょうか。それは、inQsが世界唯一の独自技術を持ち、開発と製造に世界で初めて成功した事に他なりません。将来的に電力供給システムの一部を変える可能性を秘めた技術と言われ、注目が集まっています。
伊藤忠商事ニュースリリース:http://www.itochu.co.jp/ja/news/2016/160404.html
inQsニュースリリース:http://www.inqs.co.jp/new/news008.html
【既存のポリシリコン原料の太陽電池パネル】
まず、太陽電池のパネルと言えば、ポリシリコンを原料とした青色と黒色が主流です。その色の違いは構造にあります。特徴を下記にまとめました。
| 多結晶シリコン太陽電池 | 単結晶シリコン太陽電池 | |
|---|---|---|
| イメージ | ![]() | ![]() |
| 色 | 青色 | 黒色 |
| 価格 | 安い (住宅用の約90%を占める) | 高い |
| 発電効率 | 低い(12~16%) | 高い(13~18%) |
| 比較 | 結晶が小さなシリコンを使い、発電効率は低いが製造コストが抑えられている 反射防止膜が赤から緑の波長を吸収する為、青色に見える | 古くから使われているタイプで、多くのシリコンを使用している為、製造コストが高い 薄膜表面の凹凸によって光が戻らない構造の為、黒く見える |
| 耐用年数 | 変わらない | 変わらない |
どちらの太陽電池も設置スペースや設置環境が必要です。
住宅用で設置した場合は、主に屋根に設置され、メンテナンスが大変というデメリットがあります。大規模な発電施設であるメガソーラー(出力1,000kw以上)は、発電所建設に広大な用地が必要とされ、遊休地等の利用でなければ土地確保が困難です。そのため、設置が困難で普及が進みにくいといった問題があります。
【人工水晶を原料とした太陽電池とは?】
さて、inQsは、これらポリシリコン原料の太陽電池と違い、人工水晶を原料に用いる事で完全無色透明型と極低照度発電型の二種類の新型太陽電池を開発しました。2016年2月にJapan Venture Award (JVA)のJVA2016技術イノベート特別賞を受賞しています。
『完全無色透明型』

出典:inQs(株)
ガラスの代わりに使用する事が想定されています。オフィスビルや工場だけではなく、一般家庭や自動車などで使うことが出来ます、陽の光が入れば電気エネルギーを作ることができるので、既存の太陽光パネルの設置を断念していた場所でも発電が可能になります。
この発電する窓ガラスは、明るさを取り込むという窓の役割を担いながら、窓に届く太陽光からエネルギーを作るという一挙両得の部材になりえます。
『極低照度発電型』

出展:inQs(株)
少しの光でも発電ができます。太陽の光ほどの明るさを必要とせず、暗い室内においても発電可能です。赤外線や無線を使ったリモコンやマウスなどが乾電池不要で動作できるようになります。機器の小型化・軽量化にも貢献できるでしょう。
従来使用場所が限定されていたポリシリコン太陽電池と異なり、設置困難という点が解消された事で、普及が加速する可能性が見えてきました。
太陽光発電は、設置2年にて(*1)CO2排出がゼロとみなす事が出来る、理想的な再生可能エネルギーの1つです。inQsの太陽電池技術は、太陽光発電の可能性を大きく広げるものであり、ひいては地球温暖化問題の解決に繋がる事が期待できます。
*1:国の試算において(参照:goo)
折しも、4月から電力自由化が始まり、これからこのような革新的な技術がどんどん生まれる可能性があります。今後の電力供給技術の進展に注目です。
(文責:斉藤)

