1.食品廃棄物とは?
事業所から排出される食品廃棄物は、[a]食品製造業から、[b]食品流通業及び外食産業から、[c]家庭から排出された食品不要物を指します。
[a]は動植物性残さに含まれ、[b]および[c]は一般廃棄物の扱いとなります。このうち、事業系一般廃棄物である[b]の範囲(売れ残り、食品廃棄など)を主としてリサイクルを行っている企業をこのリサイクルハブで紹介しています。リサイクルの手法については動植物性残さと共通しています。
また処分に際しては、事業系一般廃棄物は「自己処理責任の原則」に基づいて、1.)事業者自ら処理をする 2.)許可業者に委託する 3.)市町村に委託する の3通りの方法で処分することが義務付けられています。
しかしこれは原則であり、自治体によっては事業系一般廃棄物は回収を行っていないところもありますので注意が必要です。
2.食品廃棄物の具体例
- 小売店から廃棄された食料品
- 売れ残りの惣菜や弁当
- 外食産業からの食べ残し
- 学校給食の食べ残し など
3.食品廃棄物の主なリサイクル方法
<概況>
平成22年度の農水省の推計によれば、年間で約1700万トンもの食品廃棄物が排出されています。その中でも本来は食べられる(可食部分)のに廃棄されている、いわゆる「食品ロス」の廃棄は年間約500万~800万トンにのぼるとの推計があります。また、食品産業から排出される食品廃棄物(平成16年度では約1100万トン)の約半分が再生利用されていると見られています。リサイクルの手法は動植物性残さ同様に様々ですが、再生利用率は伸び悩む傾向にあるようです。
<主なリサイクル用途・方法>
- 肥料化(コンポスト)
比較的簡単にできるリサイクル手法で、窒素・リン酸・カリなどの肥料に必須な要素を含んでいる食品廃棄物であれば高品質な肥料として再生利用することが可能です。 - 飼料化
たんぱく質を豊富に含んでいる食品廃棄物については、飼料化に適しているといえます。国内の飼料自給率は20%と低く、かつ食品廃棄物の総量を考慮すると、双方の環境資源効率化の意味合いでは相当に有効な再生利用手法ともいえます。また、飼料化の延長で、たとえば魚のあら(魚腸骨)を飼料だけでなくペットフードの原料となる魚粉や魚油へリサイクルもされています。
再生飼料は一般的な飼料にくらべコスト高ではありますが、市場最安値とも言われている現在の価格が維持されるかというと疑問点もあります。将来にわたる食料供給の水準の維持を目指す意味でも、再生飼料を活用するメリットは十分にあるといえるでしょう。 - メタン発酵(バイオマスエネルギー)
肥料化・飼料化ともにマテリアルリサイクルの範疇ではありますが、それらを生成するプロセスの中でサーマルリサイクルとしても食品廃棄物を再生利用できるのがメタン発酵です。食品廃棄物を発酵させてメタンガスを取り出し、燃焼させ発電します。これをバイオガス発電と呼びます。
<その他の処理方法>
食品廃棄物は腐敗しやすいので、乾燥や焼却などの安定化処理を行ったうえで処分されます。
【参考】
環境省:食品廃棄物の現状
http://www.env.go.jp/recycle/food/gaiyo04.html
農林水産省資料:日本の食品ロスの状況