1.PC・小型家電とリサイクル
事業所で使われるPC・小型家電は、事業系一般廃棄物に分類されます。都市鉱山、というフレーズが使われるようになり、耳にしたことのある人も多いのではないでしょうか。近年ではパソコンや携帯電話をはじめとする電子機器の発達が著しく、それらにはレアメタルが使われています。パソコンの基板1トンからは、約140グラムの金が回収できます。また、国内で廃棄された工業製品の中には約6800トンもの金が含まれており、これは世界の現有埋蔵金の16%に相当します。他にも様々な貴金属・レアメタルが廃棄物に眠っており、資源化が可能であれば世界有数の鉱物資源産出国ということになります。というわけで、主として都市鉱山とは廃棄される大量の電子機器などに含まれる、貴金属やレアメタルのことを指すのです。
本カテゴリでは、そのような都市鉱山のうち、パソコンや携帯電話をはじめとする小型電子機器に関わるものを取り上げていきます。
2.都市鉱山を多く含む小型家電の具体例
小型家電リサイクル法により、以下のものが特定対象品目としてリサイクルされています。
- パソコン、ノートパソコン、タブレット端末
- 携帯電話、スマートフォン
- ゲーム機
- デジタルカメラ
- 電話機、ファックス
- ビデオレコーダーや音楽プレイヤーなどのAV機器
- HDD、USBメモリ、メモリーカードなどの記憶媒体
- 電子書籍端末
- 電子辞書、電卓
- 電子血圧計、電子体温計
- 理美容機器(ヘアドライヤー、ヘアーアイロン、電気かみそり、電気バリカン、電気かみそり洗浄機、電動歯ブラシ)
- 懐中電灯
- 時計 など
また、遊技機なども貴金属やレアメタルのリサイクル対象となるケースもあります。
3.PC・小型家電等の主なリサイクル方法
<概況>
これらの電子機器類は産業廃棄物としては扱われませんが、パソコンなどは事業者から輩出されるものが大多数であったりと、産業廃棄物を主として扱うリサイクル工場での受入れも少なくありません。また、前述のとおり都市鉱山リサイクルの対象としてはもちろん、分解後の筐体のプラスチック部分や鉄などのベースメタルのリサイクルも同時にされることもあります。
<主なリサイクル用途・方法>
1.)まずは、貴金属やレアメタル・鉄などのベースメタル・プラスチックなど、各種類ごとに分解・分別されます
2.)分別されたそれぞれの廃棄物のパーツ等を、性状にしたがってリサイクル・適正処理されます。
以下がその一例となります。
- 金銀銅滓や基板など…溶融などの処理を経て貴金属・レアメタル原料化
- プラスチック…再生樹脂化
- 非鉄金属…非鉄金属原料や、自動車部品などの製品化
- ステンレス…ステンレス鋼化
- 一部のダスト…焼却されサーマルリサイクル・焼却後残さを路盤材化
<その他の処理方法>
従来は廃棄された小型家電がその大半がそのまま埋立てられていました。現在では国全体で回収率20%という目標を掲げ、小型家電のリサイクルを促進させる流れができつつありますが、それでも十分な有効活用がされているとは言い難い現状です。